1-1、材料の種類
突板(つきいた)、単板(たんぱん)、へぎ板 とは
網代合板に使用する材料は木を加工したもので、樹種と加工の形態で表します。
樹種とは、杉(すぎ)や桧(ひのき)といった、木の種類の事です。加工の形態とは、杉や桧をどのように網代を編む板状の状態にしたか
という事で、主に突板とへぎ板の2つがあり、下記のような違いがあります。
形態 | 樹種 | |
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突板 (つきいた) |
突板の読み方は「つきいた」で、突板とは、木材を機械を使い刃物で薄くスライスしたもの。単板(たんぱん)とも言われています。 (木材を薄くスライスする事を「突く」といいます。) 網代の材料として使うほか、他の内装用建築材(床や柱など)や家具(テーブルやタンスなど)の表面に、主に見た目を美しくする目的で貼られます。 | 杉が代表的。桐、椹、桧、青森ヒバなど。 |
へぎ板 (枌板・へぎいた) |
枌板の読み方は「へぎいた」ですが、ひらがなやカタカナを使い「へぎ板」または「ヘギ板」と書かれる事が多いです。 へぎ板とは、木材を手作業で薄く割(さ)いたもの。刃物で木目を切断する突板とは違い、木の繊維に沿って割けていくので木目が浮き出て(材料表面は、木目に沿って凹凸があります。)表面にツヤがあるのが特徴。 へぎ板制作には熟練の技術が必要で、突板と同じだけの数量を用意するのにかかる時間は比べ物になりません。また、へぎ板に適したよい丸太は年々減少しており、職人の高齢化という問題もあり非常に貴重な材料です。 へぎ板を使った網代は今後いつまでも作れるわけではなさそうです。 |
黒部と椹のみ。 |
その他 | 杉皮(杉の樹皮)、竹の皮 |
材料と製品名
製品名で「黒部へぎ板矢羽根網代」(くろべへぎいたやばねあじろ)という網代はどんな物なのかというと、「黒部」という樹種を「へぎ板」に加工し、「矢羽根」模様に編んだ網代です。
製品名で「杉柾(突板)市松網代」(すぎまさつきいたいちまつあじろ)という網代は、「杉」を「突板」に加工し、「市松」模様編んだ網代です。
多くの網代がへぎ板ではなく突板を使用して作られている為、「突板」は書かずに省略し、「杉柾市松網代」とする事が多いです。当サイトでも(カッコ書き)または省略しています。
具体的な材料と網代の写真は、「材料別」 タブからご覧ください。
1-2、材料の厚み
突板(単板)は機械で厚みを調整してスライスするため厚みに種類があります。 特厚 とくあつ(約1㎜)、本厚 ほんあつ(約0.8㎜)、中厚 ちゅうあつ(約0.5㎜)、薄 うす(約0.2mm)、 の4種類の厚みがございます。編み模様や樹種によって、使用している材料の厚みが異なります。
突板以外(へぎ板、杉皮、竹の皮)の厚みは1種類で調整はできません。
突板(単板)の厚み
突板(単板)の厚み4種類のうち、厚い材料を使用した網代は編込みが立体的でボリュームがあり、豪華です。厚いものほど材料を豊富に使用し、製作に時間をかけます。出来上がりの製品は網代の特徴が良く表れた良い品となります。
薄いものは廉価品として目にする機会もありますが、仕上がりは厚いものにはかないません。また、手や物が当たると破けることが多く、使用箇所は天井などに限られます。
仕上がりの良さからは本厚以上がおすすめです。
とくあつ 特厚(約1㎜) | ほんあつ 本厚(約0.8㎜) | ちゅうあつ 中厚(約0.5㎜) | うす 薄(約0.2㎜) |
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突板では最も厚く、量感にあふれ豪華。木の質感を存分に味わえる。編み込みに立体感がある。 | 定番の厚み。丈夫で編み込みに立体感がある。網代の特徴が良く表れており、おすすめです。 | 厚みや網代表面の凹凸はあまり感じられないが、薄に比べ丈夫。すっきりとした印象。 | 厚みはないが、天然の木目と手編みの持ち味を気軽に楽しめる。他の厚みに劣る点もあるが、価格を抑えた品。手や物に触れない所へ使用。 |
※一部の樹種(ウォルナット、タモ、チーク)は0.6mmを使用しています。
使用場所や用途に合った、材料と厚みをお選びください
薄い材料は、手や物が触れたり当たった時にやぶけてしまうことが多く、用途が限られます。 突板の網代を建具や腰壁等へご使用の際は「本厚」以上からお選び下さい。
天井へご使用の際は、耐久性の面からは「中厚」以上がよく、仕上がりの見た目でのおすすめは「本厚」以上です。
構造別分類 | 網代合板※1 | |||||
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材料の形態と厚み | 杉皮 竹の皮 |
へぎ板 | 突板 | |||
特厚 | 本厚 | 中厚 | 薄 | |||
天井等、手や物に触れない | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | △ |
建具や腰壁等、手や物に触れる | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | × | × |